2024年、一発目の読書は、宮部みゆきさんの『パーフェクトブルー』だった。
以前、『小暮写真館』を読んだときも幸せな読書の時間だったけれど、今回も同じように感じた。
読んでいて、物語自体に古い感じはしなかったけれど、都内の出てくる地名がいまは開発されて整備された街になっているエリアだったりして、この本が書かれたのがいまから30年以上前の1992年だと知る。
この作品は、ミステリー。
探偵事務所で飼われている犬のマサの視点で書かれている部分と、
この人誰?どういう役割?という幕間(インターバル)に登場する木原さん。
最後のほうで二人(正確には一匹と一人)は同じ場面に遭遇するのだけど、そこに行き着くまでの点と点の描写の加減が絶妙で、気づけば物語にどっぷりはまってしまった。
登場人物それぞれが、少しずつ影のある過去を持っていて、それが見え隠れして、人間味を感じさせ、それぞれの登場人物に感情移入してしまう。
ミステリーゆえの謎解き。
その謎が解けたときの複雑な気持ち。
清廉潔白な人間なんていない。
叩けば多少のホコリは出てくるもの。
そのホコリの入口と出口。
いまより科学技術が未成熟で、人権よりも経済の論理が強かった時代の話。
とはいえ、三十年経った現在でもありえそうな話。
名作は時を超えても名作なんだなあと感じた。
今年も素敵な作品に巡り合いたい。
幸せな読書の時間をありがとう。