Tae’s NOTE

母&妻&会社員。40年も生きると人生で演じる役割&抱えること・ものが増え、心のモヤモヤも増える。思考を前向きに整理するための My Noteです。

幸せな読書の時間〜「小暮写真館」宮部みゆき

宮部みゆきさんの「小暮写真館」(文庫本、上下巻)を読んだ。

最後の解説で兵庫慎司さんが「その文章を読む行為そのものが幸福」と書いてたけれど、この本を読んでいる間、本当に頭の中が幸せだった。

 

小説を読むには想像力が必要だ。

映像作品は(当たり外れはあるけど)目の前に正解を出してくれるし、

最近のビジネス本はすごくわかりやすく書かれている。

そういうわかりやすさに慣れきってしまっていたから、

正直、はじめの数十ページはちょっと苦労した。

でも、段々、心に、脳に、この話の世界が染み入ってきて、下巻は読む手が止まらなかった。

第4話にして、主人公の妹が幼くして亡くなった事情がわかるのだけど、

特に小さい子供を持つお母さんには、ほんとにこんなことありそう、って思わせるリアルさで。

その場面は涙無くしては読めず。

不覚にも通勤電車の中でハンカチを取り出して涙を拭う始末。

しかも2日連続。

(話はちょっとずつ続いてるからね)

 

宮部みゆきさんの小説を手にとって読むのは、20代の頃、「模倣犯」や「理由」を読んで以来。

数年前に日経新聞で連載してた「三島屋変調百物語」の「 迷いの旅籠」を読んだとき、ちょっと作風変わったなと思ったけど、

時代物だからかな、と思ってた。

でも、それだけではなくて、作者の側でも色々と変化があったみたいで。

あとがきを読んで、その気もち、わかる~❗と激しくうなづいてしまった。

時代の空気の共有というのかな。

なんか、同じ事を感じている人がいるんだと、嬉しく思うと同時に、

このままでいいんだっけ?とも。

 

あとがきには、参考にした本も載ってて。

そうか、着想を形にするには、何らかの手助けがあってもいいんだという気づきもあった。

 

読み終わって、なんだか淋しい。

でも、鉄路は続いてるから。

走っていればまた出会うこともあるよね。

こんな気持ちにさせてくれる本に。

 

ありがとう。