先週飛び込んできたKANさんの訃報を聞いて。
自分の青春時代を思い出した。
KANさんを初めて知ったのは、中学時代に読んでいた吉住渉先生のマンガ『ハンサムな彼女』の単行本の中だった。
掲載誌の『りぼん』では、あらすじが掲載されている部分やカラー表紙の裏面ページがあるけれど、単行本にすると白紙になる。
その白紙部分に、吉住先生が当時、「KANさんの〇〇って曲がよかった」「KANさんの△△は最高」などと、KANさんへの愛あるメッセージを綴っていたのだ。
当時はインターネットも普及しておらず、まだメジャーではなかったKANさんを知るすべもなかったけれど、
吉住先生が応援している歌手、
ということで名前は憶えていた。
その数年後、KANさんの代表曲『愛は勝つ』がお茶の間に流れるようになる。
私はまるで遠くの親戚が有名になったような気分で、なんだか嬉しくなったのを覚えている。
心配ないからね
君の想いが
必ず届く
明日がきっとある
どんなに困難で
挫けそうでも
信じることさ
必ず最後に愛は勝つ
ちょっと間違っているかもしれないけれど…
確かこんな出だしだったと思う。
いま書き出してみても、なんてまっすぐで力強く背中を押してくれる言葉なんだろう、と思う。
裏を返せば、1990年代は、こんなストレートなメッセージを必要としていた時代だったのだと思う。
そして、2020年代のいま聞いても、沈みそうになる心を持ち上げて、励まされる歌詞だ。
そんなことを考えていたら、今後はフィギュアスケートの羽生結弦さんがわずか4か月で電撃離婚というニュースが飛び込んできた。
KANさんの曲では「必ず最後に愛は勝つ」と歌っているけれど。
羽生さんは、お相手を守るために離婚という道を選ぶことで、「愛は勝つ」ことを示したのだろうか。
だとしたら、少し寂しい結末である気もするし、他に方法はなかったのかとも思うが、
他人の夫婦が下した決断をとやかく言う筋合いはない。
話をKANさんに戻して。
今回、「愛は勝つ」を久しぶりに聴きたくなって、YouTubeで再生してみた。
「心配ないからね」の歌い出しを聞いて、
不安と心配だらけのご時世だけど、それを少し受け止めてもらえて、心が軽くなる気がした。
KANさん、勇気と希望を持てる素敵な曲を残してくれてありがとう。
ご冥福をお祈りします。