コロナウィルス感染防止のため、最近ずっと地下鉄の窓が開いている。
上京してから約四半世紀、地下鉄の窓は基本、閉まっているものだったので、なんだか不思議。
今週は銀座線に乗る機会があって、青山一丁目や外苑前の駅名を聞いたとき、私の脳内である妄想が膨らんでしまった。
コロナウイルスがまだ対岸の火事のような感覚だった2月、私は村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んでいた。
そのあるシーンを思い出したのだ。
計算士の30台半ばの主人公(男性)が太った17歳の女の子とやみくろの恐怖と闘いながら東京の地下(一部、地下鉄の線路)から地上に向かうというもの。
出口は青山一丁目だったか表参道だったか。
いま自分が乗っている地下鉄の外に、その二人がいるのではないかと想像してしまったのだ。
ありえないというのは簡単だけど、あるかもしれないと思えば、少しは気がまぎれる。
もともと日本社会は男性上位で働く女性にとっては閉塞感にあふれていたが、新型コロナで外出自粛と言われて、社会全体が閉塞感と恐怖で満ち溢れてしまった。
(一部の人は全く緊張感がないようにも思えるが…)
ちなみに、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は1985年に出版されたが、
いまから35年前に発売されたとは思えないくらい自然に読めた。
全然古くなくて、2020年にもありそうな話。
主人公がビールを飲んで、そのあと車を運転することを除いては。